トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『ベラミ』 モーパッサン: 史上最強の色男

[Bel Ami] 100スーの銀貨を出した釣りを勘定台の女から受け取ると、ジョルジュ・デュロワはレストランの外へ出た。 押出の立派なこの男は、生まれつきと退役下士官のくせでぐっとそり身になったかと思うと、慣れた軍人式の手つきで口髭をひねり、それからま…

Hag-Seed / マーガレット・アトウッド: 現代におけるシェイクスピア

*日本語訳が出版されています。 『獄中シェイクスピア劇団(語りなおしシェイクスピア1 テンペスト)』鴻巣友季子訳 語りなおしシェイクスピア 1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団 (語りなおしシェイクスピア テンペスト) 作者:マーガレット・アトウッド,…

Rich People Problems / Kevin Kwan: クレイジーリッチな中国系シンガポール人物語最終章

Crazy Rich Asians*1、China Rich Girlfriend*2に続く、Kevin Kwan(ケヴィン・クワン)による大金持ち・中国系一族シリーズ第3作目! クレイジー・リッチ!(字幕版) 発売日: 2018/11/16 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 1作目のCrazy Ric…

Far Eastern Tales / サマセット・モーム

この夏の旅行のお供はサマセット・モームのFar Eastern Talesだった。Vintage Classicsの表紙もどことなくオリエンタル。 Far Eastern Tales 作者: W. Somerset Maugham 出版社/メーカー: Vintage Classics 発売日: 2000/07/25 メディア: ペーパーバック こ…

『高慢と偏見』はインスピレーションの泉

[Pride and Prejudice] 21世紀に生きる私たちをもとりこにするジェーン・オースティン作品。もちろん最も有名なのは『高慢と偏見』だろう。何度となく映画化&ドラマ化され、その度に人気を博している。 高慢と偏見〈上〉 (岩波文庫) 作者: ジェーンオーステ…

『テンペスト』 シェイクスピア(松岡和子・訳)

[Tempest] シェイクスピアは謎に包まれている。 ストラトフォード・アポン・エイヴォンで革手袋商人の息子として生まれ育ち、18歳の時に26歳の女性アン・ハサウェイと結婚。 その後ロンドンへ出て、空白の数年間ののち、俳優兼劇作家として名をはせるように…

『アリーテ姫の冒険』 ダイアナ・コールス

[The Clever Princess] Beauty Mythについて書きながら、この本を思い出したので今日はアリーテ姫について書いてみたいと思います。 物心つくかつかないかという頃から本が大好きだった私。 でも、読書に対する情熱を絶やすことなく今まで生きてきたのは、い…

宝塚で舞台化してほしい作品 海外文学編

宝塚では、『風と共に去りぬ』、『スカーレット・ピンパーネル』はもちろん、『かもめ』、『パルムの僧院』、『赤と黒』、『アンナ・カレーニナ』、『二都物語』など、かなり多くの海外文学作品が上演されています。 ですが、海外文学の虫としては、「これも…

China Rich Girlfriend / Kevin Kwan

デビュー作 Crazy Rich Asiansが大ヒットしたシンガポール出身の作家Kevin Kwan(ケヴィン・クワン)。 *Crazy Rich Asiansのレビューはこちらから。 www.tokyobookgirl.com クレイジー・リッチ!(字幕版) 発売日: 2018/11/16 メディア: Prime Video この商…

The Clothing of Books / ジュンパ・ラヒリ

こんにちは、トーキョーブックガールです。 大好きな作家の一人、ジュンパ・ラヒリ。新作が出たら必ず読みます。『停電の夜に』を初めて読んだときの衝撃は今も忘れられない。淡々とした文章は一見アメリカ的にからりとしているようで、どこかアジア的な湿度…

The Beauty Myth / Naomi Wolf: 美の神話とは

こんにちは! すっかり日常に戻りましたが、先週までの夏休みのことを思い出してぼんやりしているトーキョーブックガールです。 どうでもいい話なのですけれど、、、旅行先のホテルの部屋に支配人からのお手紙があって、末尾に「オーム・シャンティ・シャン…

夏に読む海外文学 25冊

夏にこそ読みたい小説(海外文学)をリストにしてみました。 中身はもちろん、題名も夏にまつわるものを選んだので、夏休みのお供にぜひ。 装丁まで夏らしい2冊 『観光』ラッタウット・ラープチャルーンサップ(古屋美登里訳) 『これもまた、過ぎゆく』ミレ…

Crazy Rich Asians / Kevin Kwan

ここ何年か忙しく働き通しで、久しぶりに取れた1ヶ月間の夏休み。 NYで同棲しているボーイフレンドが、「親友の結婚式があるから一緒にシンガポールへ行こうよ」と誘ってきた。 シンガポールは彼の故郷。ということは、彼のご両親にも会えるのかな? 初めて…

Farewell, ミチコ・カクタニ!

こんにちは、トーキョーブックガールです。 なんと!「ミチコ・カクタニがThe New York TimesのChief Book Criticの職を離れる」というニュースが飛び込んできましたよ! 一抹の寂しさと時代の流れを感じます……。 言わずと知れた一大文芸評論家、1955年生ま…