トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いています。

作家が夏休みに読みたい本(The Guardian: "Best holiday reads 2017, picked by writers- part one")

ガーディアンで面白い記事を見つけたのでご紹介します。

2017年の夏休み、何を読みたい(読んだ)?

という、作家が夏休みに読みたい(もしくはすでに読んだ)本を紹介するもの。

www.theguardian.com

作家の読む本…いいですね!一部ご紹介します。

*作家の名前および本のタイトルは日本語訳されているものは日本語訳を利用しています。そうでないものはアルファベット表記です。

 

チママンダ・アディーチェ

ナイジェリア出身の若手女性作家です。代表作は『半分のぼった黄色い太陽』、『アメリカーナ』など。

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アメリカ人女性作家、Margo Jeffersonによる自伝『Negroland』をあげています。経済的に豊かな黒人家庭に育った女性の伝記で、人種や階級が溶け合うのではなく、人種が階級になっているというアメリカ社会を反映していて面白いのだそう。

Negroland: A Memoir

Negroland: A Memoir

 

 その他には、Hala Alyanの『Salt Houses』。こちらはパレスチナ系アメリカ人女性作家による本。関係ないけど、著者が超絶美人!

Salt Houses

Salt Houses

 

 エリオット・コーエンの『The Big Stick: The Limits of Soft Power and the Necessity of Military Force』。国際関係学教授の本です。

どうでもいいですが、私もInternational Relations Majorだったので…soft powerだとかmilitaryだとかがタイトルになっている本を見ると、なんだか大学の図書館の匂い(笑)を思い出してしまいます。

The Big Stick: The Limits of Soft Power and the Necessity of Military Force

The Big Stick: The Limits of Soft Power and the Necessity of Military Force

 

 それから、ジャマイカ人・詩人Ishion Hutchinsonの『House of Lords and Commons: Poems』。詩集です。

House of Lords and Commons: Poems

House of Lords and Commons: Poems

 

 

 ジュリアン・バーンズ

ブッカー賞を受賞したイギリス人作家。ポストモダン的な作風が特徴です。代表作は『終わりの感覚』、『10 1/2章で書かれた世界の歴史』など。

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 ベラルーシの作家兼ジャーナリスト、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの処女作『戦争は女の顔をしていない』。バーンズ曰く「ようやく英語に翻訳されたから」とのこと。日本語訳される方(2008年)が早かったんですね。元々1984年に出版された作品ですが…

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

 

 マリー・ダリュセックの『Being Here: The Life of Paula Modersohn-Becker』。ドイツ人画家パウラ・モーダーゾーン=ベッカーの伝記です。

Being Here: The Life of Paula Modersohn-Becker

Being Here: The Life of Paula Modersohn-Becker

 

 それから「夏じゃなくて秋に出版される本なんだけど、原稿を読ませてもらったら面白かった」とのことで、ネイサン・イングランダー(ユダヤ系アメリカ人作家です)の『Dinner at the Center of the Earth』。イスラエルパレスチナに関する物語のようです。

Dinner at the Center of the Earth: A novel

Dinner at the Center of the Earth: A novel

 

 

ウィリアム・ボイド

イギリス人作家。『グッドマン・イン・アフリカ』など。 

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Chibundu Onuzoの『Welcome to Lagos』。ボイド自身ナイジェリアに住んでいたことがあるそうですが、最近ナイジェリアの作家がエネルギッシュで、特にOnuzoはその代表だとのこと。

Welcome to Lagos

Welcome to Lagos

 

 Richard Osmondの『Useful Verses』。この詩人の処女作だそうです。植物の専門家で、自然に関する知識が豊富なんだとか。

Useful Verses (English Edition)

Useful Verses (English Edition)

 

 そして『The Baffler』という1年に4回発売される雑誌。「ドナルド・トランプのアメリカん・ディストピアというおかしな世界を曇りなき眼で見つめたい方に」オススメだそうです。

thebaffler.com

 

カズオ・イシグロ

言わずと知れた日系イギリス人作家。代表作に『日の名残り』、『私を離さないで』など。

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John Darnielleの『Universal Harvester』。「アイオワのトウモロコシ畑や小さい地域社会が舞台となっていて、出だしは気味悪いスリラーのようだが、アメリカのさまよえる者や本質的に孤独な人を美しく描いている」ということです。

 まだ発売されて間もないようですね。

Universal Harvester

Universal Harvester

 

 James Ballの『Post-Truth: How Bullshit Conquered the World』。イシグロさんが読む本としてはなんだか意外に思えたのですが、「今日デジタルメディアで流行しているビジネスモデルや動機がまともではないということを、鮮やかに描写しているので」とのこと。

Post-Truth: How Bullshit Conquered the World

Post-Truth: How Bullshit Conquered the World

 

若きアイルランド人作家Sally Rooneyの『Conversations with Friends』もあがっています。「色々な人から、素晴らしい作家が現れたと聞いたから。本当にそうなのか、読んで確かめてみる」のだそう。

Conversations with Friends (English Edition)

Conversations with Friends (English Edition)

 

 

 サラ・ウォーターズ

ウェールズ出身のイギリス人作家。代表作は『半身』、『夜愁』など。

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「最近狂ったようにみんなにオススメしまくっている本があるの」と始まり、マーガレット・ドラブルの『The Dark Flood Rises』を。

 「老いること、死ぬこと、現状を評価することについて書かれた鋭く、エレガントでブラックな、面白い小説よ」とおっしゃっています。

The Dark Flood Rises

The Dark Flood Rises

 

それからDorren Batesの『Diary of a Wartime Affair』。Dorren Batesという女性の日記です。彼女の死後、お子さんにより発見されて出版されることになったとか。

 時代は 1930、40年代。若い公務員の女性(Doreenさん)と既婚の先輩男性との間の恋愛が描かれているとのことです。あらすじをググってみたところ、こんな感じでした。Doreenは既婚の先輩Eと恋に落ち、感情の機微を日記につけはじめる。こっそり真夜中に会って散歩したこと、田舎へ旅行したこと。

そのうちDoreenはEの子供を生みたくなる。戦時中、シングルマザーなんてタブー中のタブーである。しかもEにも反対されている。自身の家族や友人、同僚からも軽蔑され罵倒されるが彼女は妊娠し、子供を生むことにする。Eは妻を捨て、自分と子供の家族となってくれるのだろうか?

本当にあったことというのが興味をそそります。

Diary of a Wartime Affair: The true story of a surprisingly modern romance

Diary of a Wartime Affair: The true story of a surprisingly modern romance

 

 Neel Mukherjeeの『A State of Freedom』。現代のインドを舞台にした小説で、移民や社会不正について書かれているのだとか。

A State of Freedom

A State of Freedom

 

 この人がこんな本を読んでいるのか〜という発見があって面白い記事でした!

作家の方は皆、目のつけどころがシャープ(?)な気がします。どれも読んでみたいな〜。