トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いています。

宝塚で舞台化してほしい作品 海外文学編

宝塚では、『風と共に去りぬ』、『スカーレット・ピンパーネル』はもちろん、『かもめ』、『パルムの僧院』、『赤と黒』、『アンナ・カレーニナ』、『二都物語』など、かなり多くの海外文学作品が上演されています。

ですが、海外文学の虫と・しては、「これも舞台化してくれたらいいのに〜」と思う作品がまだまだたくさんあることも事実!

トーキョーブックガール的これもお願いします作品を並べてみました。

宝塚で上演される条件としては、

  • 魅力的な男性が主役もしくは準主役
  • 登場人物がある程度多い
  • 恋愛の要素あり

かと思うので、これを念頭に。

*『レ・ミゼラブル』など、ブロードウェイ等で既に舞台化されている作品は除いています。

*一度でも上演されたことのある作品(70年代に上演された『大いなる遺産』など)は除いています。

ベラミ

ベラミ(bel ami)、美しいお友達。

その美貌から、そんなあだ名がついたデュロワは一文無しの退役士官。

友人のフォレスチェに口を聞いてもらい、パリの新聞社で働き始める。しかしいい記事を書くことができず、フォレスチェの妻マドレーヌに代筆してもらう始末。

デュロワはマドレーヌに惹かれながらも、その美貌で上流階級のマダムたちのお気に入りとなり、ド・マレル夫人や新聞社の社長の妻であるヴァルテール夫人などの愛人となり、権力を利用する。

そしてフォレスチェが病死するとマドレーヌと再婚し、彼女の知性に頼りっぱなしとなる。デュロワの書く記事があまりにフォレスチェの記事にそっくりなことが話題となるが…。

デュロワはとにかく女たらし。その美貌を武器にのし上がっていく男です。

女たちを次々に虜にする姿は恐ろしいのですが、モーパッサンらしいストーリー展開で、舞台化すると『赤と黒』より楽しめるのではないかと思います。

赤と黒』は、とうこ(安蘭けい)さんが上演を熱望していたというエピソードを小耳に挟んだことがあります。ジュリアン・ソレルもいいですが、是非デュロワを演じていただきたかった…。

イギリスで映画化され、ロバート・パティンソンが主演したのですが私はまだ観ていません。でも雰囲気はぴったり!

本国フランスでも映画化してほしい…その際の主役はルイ・ガレルがいいな〜。

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ノーサンガー・アビー

 『高慢と偏見』のアダプテーションは2012年に星組が上演していますが(『天使の梯子』)、やっぱりオースティン作品はいろいろと上演していただきたい!

元祖ラブコメ、ドタバタが楽しい『ノーサンガー・アビー』は、性格の悪い登場人物が少ないことが特徴。当時善と悪をはっきり書き分けるのが主流だったゴシック小説のパロディとして生まれたこの小説、登場人物のいろいろな面を描いているので、いわゆる悪役がいないのです。楽しい歌劇になるのでは?

主人公のキャサリンは夢見る17歳。ゴシック小説大好きで、少々妄想癖あり。

隣人夫妻とイギリスの保養地バースを訪れ、休暇を楽しむキャサリン。ある日、パーティーで出会った紳士ヘンリー・ティルニーに恋をする。

その後ひょんなことからヘンリーの実家に招かれたキャサリン。ゴシック小説に出てきそうな古くいかめしいお屋敷では、不可解なことが次々と起きる…。

傲慢な男ジョン・ソープに求婚されたり、その妹イザベラとキャサリンの兄ジェイムズが婚約したり、そうかと思えばイザベラがヘンリーの兄フレデリック・ティルニーと浮気したり…と、恋のから騒ぎがいっぱいです。

前半は光に満ち溢れる保養地バース、後半はゴシック調のお屋敷ノーサンガー・アビーと、舞台が明から暗に変わるのも見応えがありそう。

ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)

ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)

 

 

ゾロ 伝説の始まり

 『ZORRO 仮面のメサイア』として『怪傑ゾロ』をモチーフとした作品は舞台化されていますが、是非アジェンデの描く「ゾロ以前の物語」を上演していただきたいです!

カリフォルニアのお坊っちゃまディエゴは父親がスペイン人、母親がインディアン。

使用人の息子ベルナルド(インディアン)と兄弟のように育つ。

大人になった2人はスペインに留学し、ディエゴはとある秘密結社でゾロとして暗躍するようになる…。

インディアンが多く住み自然の美しいアメリカ(カリフォルニア)、都会的なスペインと2箇所が舞台になっていて、女首長やら、インディアン美しい娘やら、スペインのお嬢様やら、娘役も充実。

ベルナルドは『怪傑ゾロ』では口が利けないという役どころですが、この作品では話をしています。なぜ口が聞けなくなったかという経緯も綴られており、彼のインディアン娘との恋愛も話の軸となっていて見所が多いです。

舞台映えしそう。

tokyobookgirl.hatenablog.com

ゾロ:伝説の始まり〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ゾロ:伝説の始まり〈上〉 (扶桑社ミステリー)

 
ゾロ:伝説の始まり〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ゾロ:伝説の始まり〈下〉 (扶桑社ミステリー)

 

 

太陽がいっぱい

これは、なぜ舞台化されていないのか常々不思議に思っている作品。主人公が腹黒いから?『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』も上演したので、こちらもいいなと思っています。

 貧しく天涯孤独な青年トム・リプリーは、アメリカの大富豪の息子フィリップと旅行先のローマで仲良くなる。フィリップはマージという娘と恋仲になり、遊んで毎日を過ごしていた。フィリップの美しさと、豪遊っぷりに憧れるトム。いつでもどこでも一緒に過ごすようになるのだが、フィリップはだんだん自分のそばをついて離れないトムを疎ましく感じるようになる。

それを感じ取ったトムはある日フィリップを殺害し、フィリップになりすまして財産を手に入れようとするのだが…。

もちろん主役はトムなわけですが、この筋のままだとトップ男役がするにはあんまりかもしれませんね。娘役も今ひとつ見せ場がないかも…。

それでもトムのフィリップへの淡い恋心やヨットの描写など、独特の儚さ、美しさがあり、夏にぴったり。

また、ハイスミスが描く「嫉妬」は醜く、暑苦しく、湿度が高いのですが、妙に心に残ります。

太陽がいっぱい (河出文庫)

太陽がいっぱい (河出文庫)

 

 

三国志

三国志関連で舞台化されたのは『虞美人』のみでしょうか?(私のリサーチが足りないかもしれません)

項羽と虞姫の悲恋を描いた『虞美人』は宝塚で1951年に初演、一大宝塚ブームを巻き起こした記念すべき作品ということです。春日野八千代さんが項羽を演じたのですよね。時間を巻き戻したい…!

恋愛要素は薄い三国志ですが、『レッド・クリフ』の赤壁の戦い大喬小喬や、董卓呂布貂蝉のエピソードは上演に値するのでは。

ドニー・イェンが主演した映画『関羽』もなかなかよかったですが、舞台としては少しニッチでしょうか。

名前をあげておいて、なんですが…私は横山光輝先生の漫画『三国志』しか読んだことがありません(しかも20巻前後で挫折)。だからあらすじは書けません!読んでいても、書けない気もするが。

そろそろ『三国志演義』に挑戦したいです。

三国志演義 (一) (講談社学術文庫)

三国志演義 (一) (講談社学術文庫)

 

 

ティファニーで朝食を

作家志望のポールは純粋な男性。同じアパートに住むホリーは毎晩のようにセレブリティを招いてパーティーに明け暮れている。そんなある夜、彼女が助けを求め、ポールの部屋にやってくる。

天衣無縫な魅力で社交界を虜にする自称女優のホリーに、ポールはどんどん惹かれていく。二人の距離は縮まるかと思いきや、次に会った時はそっけない態度をとられる。ホリーは束縛を嫌う女性で、そういう部分もポールには魅力的に映る。

ある日、ホリーの夫だという男性がアパートに現れ…。

辛い経験をしてきているとはいえ自らの意思で生き方を選び取るホリーの自由が故の孤独、孤独であるが故の自由は美しい。

女性の成長を描くこの物語は、『風と共に去りぬ』のように、男役が娘役をする趣のある作品であるような気がします。

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

 

 

オデュッセイア

トロイア戦争で活躍したオデュッセウスは、英雄となった。10年にわたる戦争に辟易し、故郷のイタケーへ帰りたいのだが、海神ポセイドンがその邪魔をする。

一方故郷イタケーでは、オデュッセウスの妻ペネロペの元に、求婚者がつめかけていた。オデュッセウスの莫大な財産とイタケーの支配に目をつけた悪人ばかりである…。

ギリシャ神話はもっと題材として扱っていただきたいです。

オデュッセウスとペネロペの物語でも、絶世の美女ヘレンの物語でも。かなり脚色が必要となる気はしますが、12星座にちなんだ物語なんかもあったらいいのになと思います。ギリシャ風エンパイアドレスの娘役さん、神々しい美しさだろうな。

ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

 
ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)

 

  

千夜一夜物語

ササン朝ペルシャのシャフリヤール王は、妻の不貞を発見して怒りくるう。彼はそのショックから、処女と結婚しては翌朝に処刑することを繰り返すようになる。 

度重なる殺害を止めるため、大臣の娘シェヘラザードは王との結婚を志願する。その夜、シェヘラザードは王の寝室で物語を語る。それがあまりにも面白かったので、王は翌日までシェヘラザードの処刑を延期する…。

バートン版『千夜一夜物語』はかなりエロティックな描写も多くありますが、この大元のストーリーラインはまるで童話のように美しい。シェヘラザードの物語をいくつか抜き出して、劇中劇にすれば登場人物も多くなるのでは。ただし、『アラジン』は劇団四季が上演しているのでおそらくダメでしょうし、『アリババ物語』は以前上演したことがある(再演がないところを見ると評判が良くなかったのか?)ので、『シンドバッドの冒険』あたりが適切でしょうか。

ペルシャ風のお衣装が見たい!という私の希望です。

バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)
 

 

番外編!(映画、漫画、日本の小説) 

1. ロシュフォールの恋人たち

 宙組の真風涼帆x星風まどかのお披露目公演は『ウェスト・サイド・ストーリー』に決定しましたね!映画の大ファンなので今から本当に楽しみなのですが、『ウェスト・サイド・ストーリー』とくればジョージ・チャキリスつながりで、是非『ロシュフォールの恋人たち』も上演してほしい!

とにかく明るく美しい人生賛歌のこの作品。宝塚にぴったりだと思うのです。

フランスの南、ロシュフォールを舞台にしたお祭りの週末のお話。

ソランジュとデルフィーヌという美しい双子姉妹は芸術家。ソランジュはピアニストで、デルフィーヌはバレリーナ。2人は小さな町に退屈しており、パリに出て素敵な恋をしたいと夢見ている。

そこへ、エチエンヌとビルという芸人がお祭りのためやってくる。ペアでやっていた踊り子たちが逃げてしまったため、ショーに出演してくれる人を探しているのだが、ひょんなことからソランジュとデルフィーヌに歌い踊ってもらうことになる…。

映画ではもちろんソランジュとデルフィーヌが主役ですが、マクサンス(水兵、理想の女性とめぐり合うことを夢見て、日々絵を描いている。その絵はデルフィーヌにそっくり)とアンディ・ミラー(ソランジュと街角で出会い一目惚れするアメリカ人)という相手役も、どちらも主役級。

特にジーン・ケリー演じるアンディ・ミラーが歌い踊るシーンは圧巻!

フランスのミュージカルは、ハリウッドとは一線を画した独特の雰囲気があるので大好きです。

そういえば先日フランス人と話していて、「ロシュフォールの恋人たちが一番好きな映画なんだ〜」と何気なく言ったところ、「見たことないんだよね」と言われて少しショックだったのでした…。

ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]

ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]

 

  

2. インタビュー ウィズ ヴァンパイア

 『ポーの一族』が舞台化決定したので今更ですが、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』もブラッド・ピットトム・クルーズの妖艶な美しさがたまりません。

 

3. アドルフに告ぐ

 同じ宝塚出身の手塚治虫先生の作品も是非観てみたいものです。『リボンの騎士』は宝塚歌劇団にインスパイアされた作品として有名で上演もされていますが、神戸を舞台とした『アドルフに告ぐ』なんかも舞台化に向いていそう。

アドルフに告ぐ 1
 

 

4. 七時間半 

獅子文六作品はどれもクスッと笑える小説ばかり。最近次々と復刻されていて嬉しい限りです。中でも『七時間半』は、三谷幸喜のコメディのような味があります。

タイトルの『七時間半』とは、昭和三十年代当時、東京から大阪への電車移動にかかった時間を表している。特急列車「ちどり」の車内で、東京・品川−大阪移動中に起こった出来事を描いた群像劇。

給仕係の藤倉サヨ子は、食堂車コックの矢坂喜一に片想い中。しかし当時の花形OL、"ちどりガール"の有女子が喜一にちょっかいを出し、思わぬ三角関係に。

また、車内でテロが起きるという噂から、乗員も乗客も上へ下への大騒ぎとなり…。

女の子たちの関西弁もコケティッシュでキュート。

七時間半 (ちくま文庫)

七時間半 (ちくま文庫)